本プロジェクトの実施にあたって、アーティストとともにリサーチ/演奏表現に参加する学生を募集しています。
概要
活版印刷文化は文字使用の歴史のごくごく一部を占めるにすぎないーーマーシャル・マクルーハン『グーテンベルクの銀河系』
1960年代にメディア研究者マーシャル・マクルーハンは数多くの引用と例証を大胆に用いて、激変する活版印刷文化の現在、過去、未来を描き出そうとしました。それから60年後、インターネットがインフラ化しAI技術が普及し始めた現在の文化活動において、いまだ本/言葉はどのような役割と可能性をもちつづけているでしょうか?
《グーテンベルク・レコーディング》は、アーティストによって本/言葉から演奏表現が生み出される(思い出され記録される)過程を検証することで、本/言葉のいくつもの可能性を考えるプロジェクトです。
活動内容
本プロジェクトでは、3組のゲストアーティストがメインとなって、それぞれがリサーチやディスカッション、演奏表現を実施します。
参加希望者は、それぞれのゲストアーティストおよび協力者とともに、リサーチから演奏までのプロセスに参加し、意見交換や演奏表現を行うことになります。本/言葉から音楽表現が作り出されていく過程に参加することで、ジャンル横断的な表現や記録から創造/想像を生み出すアプローチに触れてもらうことを期待しています。
なお、活動プロセスや最終的な演奏表現はドキュメンテーションされて学内資料として管理される予定です。
公演詳細(近日公開予定)
スケジュール
2025年10月〜12月 本や演奏に関するディスカッション
2025年12月〜1月 リハーサルなど
2026年2、3月 演奏
参加方法と要件
参加にあたって、美術、音楽、映像といったジャンルは問いません、また制作者かそうでないかなどの区分も問いません。
参加希望者は、以下の申し込みフォームにご記入ください。
要件:本学学生であること
リサーチ、ディスカッション、演奏にできる限り参加可能なこと
各調整などにおいてゲストおよび運営とコミュニケーションや連絡を取れること
*複数組に参加することも可能ですが、ディスカッションやリハーサル、本番のスケジュールの調整を十分に注意して、ご参加ください
申し込みフォーム
・荒悠平(ダンサー)*定員に達したため募集を締め切りました(1008)
募集期間:10月7日(火)〜10月21日(火)
定員:4名程度
・宮坂遼太郎(打楽器奏者) *定員に達したため募集を締め切りました(0928)
募集期間:9月26日(金)〜10月10日(金)
定員:7名程度
・本藤美咲(音楽家) *定員に達したため募集を締め切りました(1002)
募集期間:10月2日(木)〜10月16日(木)
定員:3名程度
*いずれも応募者多数の場合、締切日より前に募集を終了して選考を行う可能性があります。
ゲストアーティスト
荒悠平(ダンサー)
コンテンポラリー系のダンサーとして数多くのカンパニーに所属、出演してきたキャリアを経て、活動の主軸をソロや共作に移行した。
音楽、彫刻、陶芸、絵画、現代美術、映像など多方面の分野と共同作業をしている。小説や歌や演劇も作る。大学とかで教えたりもする。
大石麻央が制作したニシオンデンザメの被り物を着てパフォーマンスをする〈400才のサメ〉シリーズ、世界でも数少ない専業フレットレスベース奏者、織原良次との明るいインプロヴィゼーション・デュオ”floor girl”、俳優・松田弘子、山内健司らとの演劇の作演出、その活動記録として執筆した『小説・松田弘子』等、活動は無闇に広く概ねどれも好評。レジデンス制作も国内外でよく行う。2019年にマレーシアで踊ったソロでは歴史を踏まえたパフォーマンスが「巡礼」と評された(https://www.criticsrepublic.com/2019/09/04/the-magic-mountain-a-review-of-the-inxo-international-residency-program/)。
2023年頃より、人と何かを作るプロジェクト”荒悠平たち”を始め、演劇や音楽ライブや合宿や行楽をしている。
文学賞の最終候補になったり食い扶持を得るために会社員をしていたら妙に出世したりカレー屋をやらないかと誘われたり…と他にもなんだか忙しいが、ダンスがすべての軸にある。まさか東京藝大から作曲仕事をもらうとは夢にも思いませんでした。
宮坂遼太郎(打楽器奏者)
1995年まれ。長野県諏訪市出身。
主に打楽器や打楽器的なものと一緒に演奏する。遍在する画一的な矯正に抵抗し、未知の温度に達することを基礎的な目標としている。
バンドへの参加や歌手との協働、即興演奏やソロ演奏など様々な方法で音楽と関わる。現在は安部勇磨、折坂悠太、大石晴子、kanekoayano、xiangyu、蓮沼執太、浮、増田義基、RYOZO BAND…など様々なバンド、ミュージシャンのライブやレコーディングに参加するほか、中核メンバーとしてアナウンサーズ、ガラグア、clouds犬、グリーティング霊長類ズ、秘密基地などのバンド、ユニットでも活動している。
これまでに完全自作の宅録作品を2作リリースしたほか、ftarriレーベルより秋山徹次、波多野敦子、嶺川貴子とのデュオ・ライブ盤計3作が発売されている。
(撮影:碧)
本藤美咲(音楽家)
1992年生まれ。音楽家。
即興演奏と作編曲の二極を基盤とし、多様な分野のアーティストと共演・共同制作を行い、日々触手を伸ばす。
2018年に主宰バンド『galajapolymo』を結成。
このほか『OTOMO YOSHIHIDE Small Stone Ensemble』『渋さ知らズオーケストラ』『東郷清丸匚』『トクマルシューゴ フルバンド編成』『片想い』『Ensemble Shippolly6』『SAX CATS』『Tokyo sound-painting』など、参加プロジェクト多数。
2021年よりパフォーミングアーツ・コレクティブ『バストリオ』のクリエーション・上演作品に携わり、2025年にメンバーとして加入。
2022年に1stソロアルバム「Yagateyamu」、2025年に「Evoke」「Biosphere」を2枚同時にhitorriレーベルよりリリース。
2018年より渋谷区大和田レインボウ・プロジェクト講師を務める。
ライヴパフォーマンスを主軸としながら、映像メディアのための音源制作、作編曲提供、音源作品への演奏参加を行うほか、ハンドサインを用いた即興演奏ワークショップなど、人と場を音で楽しむ企画も行う。
https://www.misaxophone.me
(©︎川村喜一)
PA/録音
増田義基
1996年生。栃木県出身。東京藝術大学音楽環境創造科卒。これまでに山田栄二・西岡龍彦・森威功らに師事。
録音・演奏・作曲・空間音響設計・プログラミング・音響PAなどの音に関する様々な技術を駆使し、演劇や身体表現・アニメーション・映画・インスタレーション・広告・音声ガイドやゲーム制作など、様々な領域での作品制作に携わっている。
主な作品に、コンクリートダム堤防内での演奏を記録したかさねぎリストバンド「絶滅種の側から」、卓球型演奏装置「とてもとても大きな音が鳴らせるピンポン」、音楽アルバム「ビオトープ探して」など。https://yoshikimasuda.com
宣伝美術
黒木麻衣(ヴィジュアルデザイナー)
1992年鹿児島生まれ。女子美術大学ヴィジュアルデザイン専攻卒業。絵やイラストレーションを軸に作品を発表するとともに、デザインの知見を活かしたイラストレーションを中心とするクライアントワークも手がける。また、パフォーミングアーツ・コレクティヴ「バストリオ」に所属し、上演やワークショップにおける創作プロセスに参加。描く行為を主体とした出演なども行い、多面的な制作活動を通して視覚表現の可能性を探求している。WEB: https://kurokimai.com/ バストリオ: https://www.busstrio.com
ドキュメンテーション
石橋鼓太郎(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科非常勤講師)
1993年生まれ。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻博士後期課程修了。博士(学術)。専門はアートマネジメント、音楽研究、文化人類学。非専門家が参加する実験音楽や即興音楽を主な対象として、異なる背景を持つ人々の関わり合いの中で音楽が立ち上がる過程に関心を持ち、研究・企画制作・中間支援・演奏・ファシリテーションなど、さまざまな立場から実践に携わっている。主な論文に、「プロト関係としてのだじゃれ音楽 ──現代日本の市民参加型音楽実践における規範化された「つながり」をめぐって」(『文化人類学』87(3): 421-440)、「投壜通信を書き継ぐ ──「現代音楽」における作曲家の愛着をめぐって」(『白山人類学』27: 13-40)など。現在、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科非常勤講師、アーツカウンシル東京芸術文化調査員(プログラムオフィサー/音楽分野)。
主催:東京藝術大学未来創造継承センター
共催:東京藝術大学附属図書館
お問い合わせはこちら:future@ml.geidai.ac.jp(担当:幅谷)