「クリエイティヴ・アーカイヴ研究会」は、未来創造継承センターが主催する、芸術文化におけるアーカイヴのあり方を議論するための研究会です。アーカイヴ(ズ)に関する講義という形式ではなく、作品制作や演奏のための情報収集、資料管理、保存、活用、検証といったプロセスについて日々の疑問や悩みを考える手がかりを得ることを主として、どなたにも開かれた議論ができる機会を提供します。参加者からのアイデアや経験も積極的に取り入れるために、相互的な意見交換を予定しています。ジャンルを問わず、ご関心のある方はぜひご参加ください。
なお、本研究会は有楽町藝大キャンパスの一環として社会人受講生のご参加も可能です。本学所属以外の方々に関して、社会人受講に関する詳細はこちらをご覧ください。
キーワード:情報収集、領域横断的な芸術実践、創作と言葉
ゲスト講師:青柳菜摘(アーティスト/詩人)
石本華江(慶應義塾大学アート・センター所員/土方巽アーカイヴ担当学芸員/同大学文学部・大学院非常勤講師)
岩井優(アーティスト)
松尾孝之(アーティスト)
VIDEOTAPEMUSIC(映像ディレクター/ミュージシャン)
阿部航太(デザイナー/文化人類学専攻)
西尾美也(美術家/東京藝術大学美術学部先端芸術表現科 准教授)
畑まりあ(アートマネージャー/東京藝術大学芸術未来研究場 特任助教)
服部浩之(キュレーター/東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻 准教授)
渡邉朋也(山口情報芸術センター[YCAM]ドキュメント・コーディネーター/アーキビスト)
2025年度テーマ:「ポスト・サーチとは?」
インターネットの時代にあって「探す」行為はいかに多様か?
情報や資料やモノを探して集めるーーこれまで「探す」とは、「つくる」ための準備と見なされて創作活動の現場で十分に議論されてきませんでした。一方で、現代の高度情報化社会にあって「探す」行為とは、アートの領域だけでなくあらゆる組織や個人の活動において、それ自体非常に創造力/想像力が要求される活動となっています。今年度のクリエイティヴ・アーカイヴ研究会では、そのような「探す」ことの創造性/想像性に焦点を当て、講義やワークショップを通して、その多様な方法論について理解を深めることを目的とします。
対象:本学学生、教員はどなたでもご参加可能です
スケジュール:2025年11月〜2026年2月
回数:全9回(そのほか臨時にてイベントなど実施可能性あり)
時間:木曜日18:30-20:00/土曜日14:00-16:00、14:00-17:00
会場:YAU studio(東京都中央区銀座一丁目3番先 東京高速道路 北有楽ビル1階)
*第2回(11/22) コ本や(〒162-0801 東京都新宿区山吹町294小久保ビル2F)
*第9回(2/7) 山口情報芸術センター[YCAM](〒753-0075 山口県山口市中園町7-7)
備考:本研究会に関するお知らせなどは基本的にGoogleクラスルームにて行いますので、ご登録をお願いします
本研究会は有楽町藝大キャンパスの一環として社会人受講生も参加します
事前課題のある回があります。各回事前ののアナウンスをご確認ください
WSにて屋外にて活動する回があります
各回のアーカイブ動画はありません(第1回のみ期間中視聴可能)
参加方法:①Googleクラスルーム(こちら)に参加
②各回ごとに事前にお送りする参加フォームに登録
③当日は本学所属を証明できる身分証などをお見せください
第1回 オリエンテーション *動画視聴
講師 : 平諭一郎(東京藝術大学未来創造継承センター 准教授)、幅谷和眞(東京藝術大学未来創造継承センター 特任助教)
日時:2025年11月ごろ配信予定
視聴方法:Googleクラスルームに登録の学内メールアドレスにて視聴リンクを送付予定
内容:研究会の概要や各回の紹介を行う。また、「さがす」ことの創造性/想像性を考えるヒントとして、担当講師の活動などを紹介する。
第2回 本屋/アートスペースにてさがす
講師 : 青柳菜摘(アーティスト/詩人)
日時:2025年11月22日(土) 14:00 − 16:00
会場:コ本や(〒162-0801 東京都新宿区山吹町294小久保ビル2F)
神楽坂にある書店兼プロジェクトスペース「コ本や honkbooks」にて、コ本や主宰も兼ねるアーティストによる最近の活動をはじめ、コ本やの実態を伺う。参加者による自己紹介も予定。
<講師プロフィール>
photo: 和田信太郎
1990年東京都生まれ。映像メディアを用いた同時代芸術のアーティストとして、フィールドワークやリサーチをもとに、プロジェクトベースに主題を立て作品を発表している。作者自身の経験を表現する方法論として、観察、記録、物語、詩文を手がかりにタイムベースト・メディアの可能性を探究している。2016年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。近年の活動に個展「亡船記」(十和田市現代美術館サテライト会場 space, 2022)、「ICC アニュアル 2024 とても近い遠さ」展(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC], 2024)、国立女性美術館(NMWA)第7回「Women to Watch」候補に選出(2022)、オンラインプロジェクト「TWO PRIVATE ROOMS – 往復朗読」(2020-継続中)、「第10回 恵比寿映像祭」(東京都写真美術館, 2018)など。詩集『そだつのをやめる』(thoasa, 2022)が第28回中原中也賞受賞。プラクティショナーコレクティヴであるコ本や honkbooks主宰
第3回 舞踏(の痕跡)をさがす
講師 : 石本華江(慶應義塾大学アート・センター所員、土方巽アーカイヴ担当学芸員、慶應義塾大学文学部・同大学大学院非常勤講師)
日時:2025年11月27日(木) 18:30 − 20:00
会場:YAU studio(東京都中央区銀座一丁目3番先 東京高速道路 北有楽ビル1階)
パフォーマンスをアーカイヴするための独特な方法論を、土方巽を創始者とする「暗黒舞踏」のアーキヴィストに伺う。
<講師プロフィール>
photo: Aleksandr Sasha Drozd
慶應義塾大学アート・センター所員、土方巽アーカイヴ担当学芸員、慶應義塾大学文学部・同大学大学院非常勤講師。デジタルアーキビスト。02 年より和栗由紀夫+好善社の元で舞踏を開始する。土方巽の作舞法「舞踏譜」を現在に伝えるため研究会 POHRC (Perspectives on Hijikata Reseach Collective)を日英米にて 11 カ年に渡り主催し、また自身も講師として香港、バリ、メキシコなど 14 カ国に招聘される。ソロ作品も含め、アジアやヨーロッパを中心に 21 ヶ国 で上演を行った。http://www.art-c.keio.ac.jp/
第4回 路上をさがす
講師 : 岩井優(アーティスト)、松尾孝之(アーティスト)
日時:2025年12月6日(土) 14:00 − 17:00
会場:YAU studio(東京都中央区銀座一丁目3番先 東京高速道路 北有楽ビル1階)
都市や野外において制作・活動するアーティストによるレクチャーの後、実際に街にでて歩き、観察し、対話をとおして路上の再考をうながすワークショップを実施する。
<講師プロフィール>
岩井優(アーティスト)
1975年京都生まれ。国内外の地域にて参与的な手法で活動に取り組み、洗浄や清掃という日常行為に着目し、その背後にある社会的・記号的意味を顕在化するような映像やインスタレーション、パフォーマンスなどを発表。主な展覧会に、「見るは触れる 日本の新 進作家 vol.19」(東京都写真美術館、2022年)、「ヨコハマトリエンナーレ2020 AFTERGLOW ―光の破片をつかまえる」(横浜美術館、2020年)、「新・今日の作家展 2018 定点なき視点」( 横浜市民ギャラリー、2018年)、「リボーンアート・フェスティバル 2017」( 宮城県石巻市街地、牡鹿半島、2017年)など
松尾孝之(アーティスト)
1980年ニューヨーク生まれ。現代社会にとって不要とされがちな物事に着目し、それらを再考し丁寧に取り扱うことで見える新しい価値を作品として提示する。手法としては、現代の遺物に対して考古学を参照しながら記録・修復・再現することをアートにおける考現学の再解釈として行なっている。主な展示会に、「そこ・もの・こと」(MA2ギャラリー、東京、2023年)「9x10x17. 5 32:12: 59」(mh Project nyc、2022年)「Modernology – restoration」(企画:Residency Unlimite、The Ace hotelギャラリー、NY、2020年)
第5回&第6回 ビデオと音楽と言葉をさがす①&②
講師 : VIDEOTAPEMUSIC(映像ディレクター/ミュージシャン)
日時:第5回 2025年12月18日(木) 18:30 − 20:00
第6回 2026年1月22日(木) 18:30 − 20:00
会場:YAU studio(東京都中央区銀座一丁目3番先 東京高速道路 北有楽ビル1階)※予定
全国各地で収集したVHSを用いて新たな作品を生み出す映像ディレクター/ミュージシャンの活動について伺う。映像を用いた簡易的なWSを実施する可能性も。
<講師プロフィール>
ミュージシャンであり、映像ディレクター。失われつつある映像メディアともいえるVHSテープを各地で収集し、それを素材にして音楽や映像の作品を作ることが多い。VHSの映像とピアニカを使ってライブをするほか、映像ディレクターとして数々のミュージシャンのMVやVJなども手掛ける。近年では日本国内の様々な土地でフィールドワークを行いながらの作品制作や、個人宅に眠るプライベートなホームビデオのみを用いたプロジェクト「湖底」名義でのパフォーマンスも行っている。2015年の2ndアルバム『世界各国の夜』以降、カクバリズムから多数の音源作品をリリース。その他にも国内外のレーベルからリリースされた作品多数。日本各地で行ってきた滞在制作の記録をカセットテープと160Pの書籍にまとめたカセットブック作品『Revisit』を2024年6月にリリースした。
第7回 「有楽町」をさがす
講師 : アートとプロジェクトの記録と記憶を語る茶話会
日時:2026年1月24日(土) 14:00 − 17:00
会場:YAU studio(東京都中央区銀座一丁目3番先 東京高速道路 北有楽ビル1階)
デザイナー、美術家、アートマネージャー、キュレーターなど多様な講師とともに、珈琲や紅茶を飲みながら「街」をさがしてみる。
<講師メンバー>
阿部航太(デザイナー/文化人類学専攻)
西尾美也(美術家/東京藝術大学美術学部先端芸術表現科 准教授)
畑まりあ(アートマネージャー/東京藝術大学芸術未来研究場 特任助教)
服部浩之(キュレーター/東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻 准教授)
第8回 ポスト・サーチとは?(クロージング)
講師 : 平諭一郎(東京藝術大学未来創造継承センター 准教授)、幅谷和眞(東京藝術大学未来創造継承センター 特任助教)
日時:2026年2月5日(木) 18:30 − 20:00
会場:YAU studio(東京都中央区銀座一丁目3番先 東京高速道路 北有楽ビル1階)
各回を振り返りながら、「ポスト・サーチ」について考えてみる。
第9回 YCAMと山口をさがす
講師 : 渡邉朋也(山口情報芸術センター[YCAM]ドキュメント・コーディネーター/アーキビスト)
日時:2026年2月7日(土)時間未定
会場:山口情報芸術センター[YCAM](〒753-0075 山口県山口市中園町7-7)
備考:定員若干名
定員を超えた応募があった場合は、抽選で参加者を決定いたします
現地集合/現地解散
交通費、宿泊費、食費など、現地訪問に関するすべての費用は自己負担です
山口情報芸術センター(YCAM)のアーキヴィストによる見学ツアーを実施。山口市内のコミュニティとともに展開するYCAMの近年のプロジェクトなどを、現地にて解説予定。
<講師プロフィール>
©︎山本悠挿し絵事務所
1984年東京生まれ、山口県在住。2010年より山口情報芸術センター[YCAM]に勤務。展覧会や公演などのドキュメンテーションや、同館で過去に発表した作品の再制作のプロデュースも手がける。このほか、同館のウェブサイトやガイドブックなどの情報発信のプラットフォームの整備も進めている。著書に「SEIKO MIKAMI-三上晴子 記憶と記録」(2019年/NTT出版/馬定延との共編著)がある。
主催:東京藝術大学未来創造継承センター
YAU
お問い合わせはこちら:future@ml.geidai.ac.jp(担当:幅谷、平)